
これは絶対に劇場で!と決めていた映画、やっと観ることができした。
「鑑定士と顔のない依頼人」
監督は「ニュー・シネマ・パラダイス」のジュゼッペ・トルナトーレ。
わたしは★★★★です。
それくらいおもしろかったです。
まだ見ていない方は予備知識なく観たほうが断然楽しめるので、これ以上は読まないでください。
以下感想は、観た方だけ。(ネタバレありです)
主役の鑑定士を演じるのがジェフリー・ラッシュ。
他人が触ったものは触れない、食事のフォークとナイフを使う時でさえ手袋がはずせない異常なまでの潔癖症で独身、
60過ぎまで恋愛経験ゼロ、女性を抱いたことさえないヴァージル。
世界中の有名な美術館からオファーが来るほどの鑑定士で、肖像画のコレクターでもある彼は、
自宅に作った隠し部屋で、不正に競り落とした超一流の名画(女性の肖像画のみ)に囲まれて過ごすのが至福の時だった。

彼の自宅にずらりと並べられた手袋。
そんな彼が生身の女性に恋をし、
愛する女性と生まれて初めてセックスできた喜びに比べたら、
ルノアールやモディリアニなどすべてが国宝級のあの百枚以上の女性を描いた名画なんてただの紙屑当然(言い過ぎか)なのでは。
ネタバレで検索するといろんな意見があり、
ラストひどすぎ、切なすぎるっていう意見も多数ありますが、
わたしはハッピーエンドを暗示させる終わり方だと思いましたね。
何もかも失った後のほうが、断然イイ男。
最初の方のシーンで、誕生日の前日にたったひとりで高級レストランでバースディケーキのろうそくの火を見つめる彼のアップと対比するように、

ラストもまた、プラハの奇妙な(笑)レストランにひとり座っている彼を大写しにして終わります。

ウエイターが「おひとりですか?」と聞くと、鑑定士ヴァージルは答えます。
「連れを待っている」と。
失ったものより得たものの方がはるかに大きかった。
良かったじゃないか、ヴァージル!
そう言いたいな、わたしは。
英題は、「The Best Offer」(最良の出品物)
いや~、観終わって改めて実に含蓄のある題名だと感心しました。
以前観たドイツ映画「善き人のためのソナタ」ともどこか重なる部分がありました。
それにしても、この映画のラストの受け取り方が千差万別ですごく興味深い。
わたしがネットで読んだのはすべて男性が書いたもの。
女性はどう感じたのかしら?
観られた方(男女関係なく)、ぜひ感想を!
今日、電車の中で、職場の人(ご主人の蔵書から)が貸してくれた浅田次郎の短編集を読んだのですが、
そのなかの1篇「黒い森」
結末が謎なの。
いったい婚約者の正体は???
これまた読んだ方語りたーーーーい!